蝉助

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「星を見に行こう。」
ジルが提案する。
唐突なことだった。
しかし彼がすることはいつも唐突なので、それを咎める者はもうこの組織にはいない。
「どこへ?」
興味を持たない声色でルクスが尋ねる。
彼は机を挟んでジャックと今週の報酬金15%を賭け勝負をしている最中で、ジルの話を本気で聞くのは毛頭ない。
すべて分かっているように駒を動かすと、ジャックの方が小さく唸った。
しかしジルは続けた。
「この街の海手側にある丘だよ。前の依頼人が言ってた、赤い星が見えるって噂の場所。」
「はあ?お前、そんな話信じてるの?」
そう呆れ声を上げたのはレイチェルで、訝しむように瞼を歪めては

4/25/2024, 10:26:33 AM