星蒼楼

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街へ

ずっと街へ行くのに憧れていた。
この村を出るということは優秀な証だ。18歳になって一人前と認められた者だけが村を出る事を許され、大きな役場のある綺麗な街で働くのだ。
年に一度、祝賀祭にだけ帰ってくる街の人たちは、村に居たときよりずっと垢抜けてキラキラとしていた。それを見ると、俺もいつかあの人たちみたいに輝くんだと、夢は膨らむ一方だった。

そして俺は今、街に向かう馬車に揺られている。
先月誕生日を迎え、念願の街への切符を手にした。村の外は初めて見る景色ばかりだった。晴れわたる空に、小鳥のさえずりが心地よい。
これからどんなたくさんの事を経験するんだろうと心を踊らせ、もうそう遠くない街に思いを馳せた。

1/28/2024, 4:33:47 PM