YUYA

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「波音と小さな灯台」

夏の終わり、海辺の小さな村には、古い灯台が一つぽつんと立っていました。この灯台は、今は使われていないけれど、昔はたくさんの船を導いてきた大切な存在でした。村の人々は、灯台を「海の目」と呼び、その役割を誇りにしていました。

ある日、都会から一人の青年がこの村にやってきました。彼は心の疲れを癒すために静かな場所を求めていて、この海辺の村にたどり着いたのです。波の音が絶え間なく続くこの場所で、彼は何か特別なものを感じました。

青年は毎日、朝から夕暮れまで海岸を散歩しました。波の音、潮の香り、そして灯台が見守るように立つ風景に心を落ち着かせました。ある夜、月明かりに照らされた海岸を歩いていると、ふと灯台の方から淡い光が漏れているのに気づきました。

「今は誰も使っていないはずなのに…」

青年は不思議に思い、灯台へと足を運びました。灯台の中に入ると、そこには一人の年老いた女性が静かに灯りを灯していました。彼女は、この灯台を守る最後の守り人でした。

「この灯台が消えると、村の人々の希望も消えてしまう気がしてね」と、彼女は静かに語りました。

青年はその言葉に心を打たれました。彼女の静かな強さと、海を見守り続ける灯台の姿が、自分の中に忘れかけていた何かを呼び覚ましたのです。

それからというもの、青年は毎晩灯台に足を運び、彼女とともに灯りを灯しました。海の彼方には、かつてのように船が行き交うことはなくても、彼らの灯りは夜の海を優しく照らし続けました。

8/23/2024, 3:27:00 PM