麦わら帽子
無精者、怠け者、ズボラ、ものぐさ、横着者。もし僕のウィキペディアがあったら、こんな言葉が並ぶんだろう。
テーブルの上には、お菓子の袋と、コップが3つ、ペットボトルもある。まあとてもじゃないが美しい光景には見えないな。
朝。日が昇る前に畑に行く。草刈りの後、作物に水をやる。全てが終わる頃には、朝日がしっかり顔を出している。汗だくで、もうクタクタ。
野菜を収穫しようとしてハッとする。
まただ。またカゴを忘れた。ズボラ人間の日常。
仕方なく、麦わら帽子を取ってひっくり返し、そこに野菜を入れていく。
ヨロヨロした足取りで家に戻り、両手で抱えた麦わら帽子をそっと縁側に置く。
水をガブガブ飲んだ後シャワーを浴び、ようやく朝ご飯。鮭、納豆、味噌汁、梅干し。日本の朝だな。
デザートに自分で作ったスイカとメロンを食べる。毎日の贅沢。田舎の特権だ。
食事を終えて一休み。お茶を飲みながら新聞を広げて思い出す。
あっ、採った野菜そのままだったような……。縁側に向かう。
ああ、やっぱりだ。置きっぱなし。ズボラ人間の日常。
逆さの麦わら帽子の中に、なす、きゅうり、トマト、ミニトマトが山盛り。ズボラの結果のはずだけど、テーブルの上の光景とは違って、何故かこっちは美しく見えた。
そんな夏の朝。
8/12/2024, 12:41:56 AM