名無しの夜

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何もいらない、と

もう十二分に得たから、と

微笑んで逝けたら

それは幸せの最高値なのではと思うけれど


きっとそんな風にはなれないかな



『心』に形があるのなら

パリンと真っ二つになって

どこぞの底で粉々になって


ああこれはもう二度と元に戻らない

もう何にもいらない

何も欲せないし望めない


靄になって

朝には跡形もなく
消えてしまえればいいのに


そんな風に思ったことなら
山のようにあるのだけれど


あれおかしいな

消えたいと願う時点で

それは望みになっているじゃないか



何もいらない


そんな、空虚さに飲まれ切ることも
できなかったのか


元には戻らなくても

何かしらか、また『心』の器ができて


繰り返す


何度でも


いつしか壊れきることもなくなって

傷だらけ穴だらけだけれど

辛うじて『形』は残っている


十二分でなくても

這いずって

時に戦って


そうして得た何かがあるから

未練はあっても

もういらないと——


いえる最期を迎えられたら、いいな



……え、今?

いや無理

まだ猫ちゃんいるから無理です絶対

お世話が終わったら
終活するんで今は勘弁して下さい

(未練だらけ)

4/21/2024, 2:49:49 AM