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雉が優雅に、鴉が南国紛いに、田畑を歩いていた。故郷の外れのことだった。
周りの木々はハリボテのように過ぎていく。電線を巻き込む調子に乗り具合であり、もう猶予期間の去った葉は鬱陶しい色合いを滾らせ、まるで脅かす寸前の格好で止まったお化け屋敷のギミックのようなかたちを縁取って私に向かっている。
あの木々各々がいのちなのですよと、言われなくてもわかっている。しかし、大小異なる風景は、私の眼球内をまたも異なる速度でくぐり抜けるものだから、呆れるほどに人工物然としていた。
空には雲が、何かのCoreのように不自然に、同じ大きさ色合いのものが、上下左右等間隔に散っている。これもまた、さも人工物然としていた。
タイトルをつけるならどうだろう、と、顎を触れてみて思い出した。
5年前に書き損じた、空白のメールがあったな。
それはかつて、半身ほど馴染んだ友人へ宛てたものであったな。
作為の似合う無題同士は、私の記憶の中で共鳴していた。面影のある、というと僅かに、遊び心があるやも知れず。
紙の折られたアイコンを見る。
容量を食うだけのそれを、消そうと思い開いては、指先の動かなくなるのを5年前から繰り返していた。毎度に違う理由をつけて、先送りにするほどには、腰を据える何かを含んでいた。
直射日光を照り返している。負けじと、限りのある光を放っている。携帯の画面に、不自然なほど力の入らない指を滑らせた。
…ほんとうに気が付かないのですか。
言葉を、ただ鳴らしただけの呼気を、数年交わしていないだけ。それだけで、未練たらしくいとも自然に、電子風情に意味をつけられるということ。
過ぎ去る緑を恨めしく睨んでははん。私は腑に落ちた。
世の中のなんと、罪作りなことか。








自然とは愛着也が持論の一つにあるからして
行方も知らない人間が、故郷に勝るなど信じたくもない話だ。

6/17/2024, 10:03:38 AM