例えるのならチャイのような。
たっぷりの香草の茶葉にシナモンをひとつかみ。
それを鍋にほおりこんでくるくる、くるくるかき混ぜる。
おもいびとのお姉さんの付ける、あまり似合わない香水のかおりにまぎれていつも練り込まれたかおり。
変わらないそれ。
『香水だけじゃないあったかいかおりがするけど、なんのかおり?』
いつだったか、そうやって舌足らずに聞いたらレシピを教えてくれた。
最初に作ってみたときには少し、口には合わなかったけれど。
だんだん癖になるそれは、あの人に染まるようでむず痒いような、甘く痺れるような。
そんな、かおりがした。
なんだかんだ気まずくなって疎遠になって会わなくなって。
だけれど憧れは変わらずに、あの癖になるかおりが鼻に入ればつい探してしまう。
忘れられない、香り。
私は貴方に染まりゆく。
【題目】紅茶の香り
10/28/2024, 8:30:48 AM