カナイユラ(叶依夢蘭)

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【大震災】
「もしもタイムマシンがあったら何したい?」
急に友達に聞かれた。
その答えは1つしかない。その友達も知っているはずだ。
「知っているだろう」
と、冷たく返すと、
「変わんねーなお前。そういうとこじゃねーの?」
「うるせぇな」
痛いとこを着いてくるものだ。

俺には愛する恋人がいた。結婚の約束もしていたし、指輪だって買っていた。
何気なく今日を過ごしていた時、事件が起こった。
震度七の大地震が彼女の実家を襲った。
急いで向かってみれば、家族はもう避難していて、安全な状況だった。1泊だけして、帰ろうとした時、また地震が起こった。そして、彼女の近くにあった崩れ掛けの屋根が彼女の上に落ちてきた。
彼女は死んだ。俺があの時横に入れば、彼女は死ぬことはなかった。
こんな不器用な俺を愛してくれた彼女。
俺はお葬式が終わって1年がたっても、まだ前に進めずにいた。
その時に戻って彼女を救いたい。

「そんだけ悲しんでたら、お前の彼女も悲しくなっちまうぞ」
そんなことわかっている。
「わかってるよ」
「じゃあなんで前に進もうとしない?」
「前に進む理由が見つからないんだ」
「そういうもんかねー」

お題…もしもタイムマシンがあったなら

7/22/2024, 1:00:11 PM