「会いたかったよ…キミとぉ!!」
豚の様な、汗が混じった声がその場に響いた。
夜の住宅街。人を設置するのを忘れたかの様に、人の気配も、灯りも、生気も無い。
声の主は、機械だった。
成人男性と同じぐらいの背丈に、二足歩行の姿。
その腕も、脚も、頭も、お腹と、背中も。
サビが進行した青緑色の金属が、人間の形を成していた。強いて言うならば、サイボーグ。
エコーが掛かった声で、獣の様に喋りだす。
「なぁ、どうしてこっちに来ないんだい?
僕は、君に会いたくてここまできたんだよぉ。」
「うわ、きっっしょ。」
辛辣にその言葉を放ったのは、金髪の女性だ。
ポニーテールを揺らし、ミント色の目で、その機械をめんどくさそうに見つめる。
赤色の派手なワンピースが、寒そうに肌を見せる。
「どうしますか?倒します?」
敬語口調で冷静に問いかけたのは、女性の隣に立つ、金色の目をした少年だった。
綿飴をちぎったような灰色の髪に、肌を全て隠す黒色のマントを見に纏っている。
「そうね。うん。派手にお願い」
女性が呆れた様に言い放ち、少年が頷く。
サイボーグ…ダサイボーグが、必死に言葉を連ねるが、二人共聞く耳を持たず、言葉すら理解しようとしなかった。
「じゃあ、行きますねー」
喚き散らす言葉を無視し、少年はふーっと息を吐き、構える。今から蹴りをするように、右脚を後ろに引く。
ダサイボーグが避けようと足を動かすも、小石ほどしか動かない。
少年の脚が、大きく振りかぶって、ダサイボーグに向かって放たれる。
機体に当たる前に、少年の脚は、鳥類の脚の様に黒くなり、前に2本、後ろに2本のヒヅメに変化する。
その鋭い爪が機体に突き刺さり、ぐしゃりと金属の板を貫通した。
「ぎゃァァァァ!!」
蹴り飛ばされ、ギャグ漫画の様に空に飛ばされる。
数秒経ってその姿は見えなくなり、キラリと星が輝いた。
「帰りましょうか。」
「うん…ハンバーガー食べよう。新しく出たやつ。」
「僕、新しいシェイク飲みたいです。」
「よーし。今日はお姉さんが奢ってあげよう〜!」
お題『君に会いたくて』×『サイボーグ』
1/19/2026, 10:58:49 AM