ストック1

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「当店のスマイルは有料です」

気持ちのいい笑顔で対応してくれた店員さんが、恐ろしいことを言い放つ
私は自分の耳を疑った
スマイルが有料?
こちらから要求もしてないのに?

「ご納得いただけないのも無理はありません
しかし、これには理由があるのです」

店員さんによると、これも従業員への負担軽減策なのだという
楽しくもないのに客に笑顔を振りまく
ふざけた客にも笑顔を振りまく
こちらが頑張っていつも笑顔を貼り付けて対応すれば、それが当然だと客はつけ上がる

「しかし、従業員も人間です
調子の悪い時もあれば、とてもじゃないけど笑顔になんてなれない状況も出てきます」

それはそうだ
常に絶好調で働ける人なんていない
世の中には、店員さんをレジ用ロボットか何かと勘違いしているような、礼儀知らずな客もいる
その中で笑顔を絶やすな、なんて私にはとても言えない

「ご理解、痛み入ります
しかし、それでも我々はできるだけ笑顔を保ち続けなければならないのです
もはやそれが世の中の普通になってしまったので
そこで、笑顔に利益を生み、そのお金がそのまままるごと従業員のポケットに入るようにすれば、従業員も笑顔で働けるのではないか……そう思ってスマイル有料が導入されたのです」

なるほど……
店員さんたちが負担なく働けるように、あえてスマイルに実益を与えたわけか
それに有料にすれば、スマイルが当然という風潮も無くなるかもしれない
でも、逆にお金をもらう以上、余計に無理やり笑顔にならないといけないんじゃあ……

「大丈夫です
問題行動が確認されたお客様にはスマイル分返金の上、態度をなんとなく悪くして対応しますので」

防御もちゃんとしてた

「ということで、スマイルが有料でもよければ、ご注文をどうぞ」

私はスマイルにもお金を払うことに決めた
こういう仕事をしたことがないので店員さんの苦労はわからないけど、日々かなり大変そうだと思ったから
私は少しでも、頑張る店員さんを応援したい!
注文を終えた私は、上乗せされたスマイル代も払い、心の中でエールを贈るのだった

2/8/2026, 11:39:20 AM