わたしには、この世界が色彩に見えるよ。
来る途中で読み終わった本について話すあたしに、君はそんなようなことを言った。
あたしの頭に、君と一緒に観た絵画が浮かぶ。シャガールのブルー、魁夷のグリーン。惹かれる色彩は君とどこか似ていた。
長い映画を見終わって、暗い劇場から外に出た瞬間の、景色が輪郭を際立たせる感じ。真夏のプールから見上げた空の眩しさ。あたしにとって色彩は、たぶんなにか特別の響きがある。
それ以上なにも言わず、君は薄く微笑んだ。あの時君に線を引かれた。色とりどりの綺麗な線を。
『色とりどり』
1/9/2026, 9:57:29 AM