「ほら、またそんなことを言う。」
君はすぐ暗いことを言うんだ
辛いだとか、嫌いだとか
機嫌の悪い時は、もっと酷いこと言い出すんだから
「関係ないでしょ、あなたには。」
関係ないなんてことはないだろう
君の首に刺さった小さいナイフは
血筋を通ってゆっくりと冷たさを運んで行く
最後だと言うのに君は、僕の方を見ない
「どういう事なんだよ。君はどうするつもりなんだ。」
「どうするつもりもない。ただ、世界の白さを見てみたくて」
あぁ、そうか。
どうにも出来ずただ何度も、疑問を投げかけた。
口の動きが少しづつ滞っていくのを、耳ではなく目で感じる
そして、焼けこげた線香の匂いが、背後から僕を包む
「どうして見つかっちゃうかな。」
うるさいな、今更口なんて開かなくていいのに
「どこ行くんだよ。」
「白いところ。」
咄嗟に君の頭をすくい上げる。
と、頭のてっぺんから、どんどんと冷えていくのを感じた。
もう、二度と晴れなくていいから...
君が目を閉じると同時に、静かに雪が、街を染め出した。
2/8/2025, 2:51:05 PM