祖父が他界するひと月前くらいから妻は祖父が家に遊びに来るたびに肩先から何故かお線香の香りがすると話していた。他界が近い人からお線香の香りが漂うという話は私も妻もインターネットの情報か何か見聞きしたのを ... まぁ印象的な話だったのもあってかくっきりと記憶していて〝 まさかね ... 〟なんて苦小笑いしたのだが ... そんな迷信染みた噺に準ずるかのように逝った。不思議なのは ... 何故そうしたタイミングで線香の香りが漂うのか ... 香りの立つ源が気にはなるが ... まあそれを考えても答えは見つけられないであろうし見つけたところで興味本位を克服したのみに過ぎない。ただ今というか昨今ね ... 自分の枕から始終お線香の香りがするのである。まあ日頃から、私は53歳だが今際の際こそ面倒臭そうとか念い乍ら妻娘二人に迷惑はかけたくないとかその際は泣かれたくないしゴミを投げた後の如く何も念うところも無く忘れてくれたらなと考えたり ... 最近ではへぇ〜、離婚届け妻と自分の勝手に押印して役所提出してから消費者金融で満額借りて家に封書で投げ置いて死(ト)ぶって手もあるのか ... なんて得心してたりするのだが ... いざ、この〝 もしかして 〟に訪れられてみるとやはり案外ときめいていた。私はやはりきっと特段狂っているのであろう。毎日毎日毎日毎日 ... やはり厭だ。この世界は自分には合わない。まず何より人間がきもちわるい。神のように崇められる日を臨み努力をする。努力はいい、然し動機が吐き気が止まらなくなるほど下衆く、そして成すを成せば一切を見下し神・仏・霊にまで挑み始める。策略 ... 企て ... 勝敗 ... 報復 ... 粛清 ... あー、きもちわるい。虚空を消すことも大海を切り裂くこともできない人間如きが神のふりをする仏を俯瞰する侮辱する霊界をも嘲笑する ... あーきもちわるい、きもちわるい。私を友達だと思う人はひとりもいないが私が特別たる友達をひとりも作らないのは特別な友達を拵える事で特別ではない無数の衆生を認定することになるからである。無論他人に押し付けたりなんか絶対にしないが ... 私は、私だけは、常にひとりでいなければならない ... そんな気がするのだ。
家族はいるけどね。家族は ... ... ...... 。
9/21/2024, 10:48:41 PM