iro

Open App

忘れたくないこと。
誰かの優しさ。あの子の薄紅のほっぺ。
可愛いお手手に乗せられた小さな飴玉。

季節の香り。桜の木の下。
桜色のトンネルを見上げて吸い込んだ
甘い懐かしい桜餅のにおい。

朝焼けの空。真っ赤な夕日。
月明かりに照らされた街並みを行きながら
夜の星々に紛れて隠した本音。

大切な思いは残したい。
薄れないように、埋もれないように。
何気ない幸せの瞬間を刻み込みたい。
色褪せないように、ずっと覚えていられるように。

私の頭の中の、記憶の本棚に仕舞い込んである、
古びた日記の一頁にそっと書き記していく。


『記憶』

3/26/2025, 8:16:47 AM