(前回と同じ関係性)
こんなに幸せでいいんだろうか、と思ったすぐあとに本当にこれは幸せかと首を傾げるような日々を送っている。
そんなことを思った時、ふと前にもこんなこと思ったなと思い立った。
この権力者になったばかりの頃。だから今からだとちょうど一年前くらいになるんだろうか。
元は暴力で虐げる世界だったユートピア。迷い子だったボクはそんなのが嫌だったから、頑張って言うこと聞いてたら褒められて権力者になった。言い方を変えればボクはいつ殴られるか、そんなことを気にしなくてはならない緊張感から突然解放されたのだ。
ボクは死ぬほど嬉しかった。こんなに幸せでいいんだろうか、って思った。
でも、まだ洗脳がなかったユートピアに落ちこぼれも何もなかったから、ボクもすぐに配置が決まって権力者としての仕事が与えられた。
まだ洗脳がなかった。だから暴力が正義だった。元仲間であるボクの顔を見て嬉しそうに、友のように話しかけてくる彼らをボクは粛清しなくてはならなかった。
もちろん、元仲間なんだから情がある。だから彼らに向かって酷いことはしたくない。だから、ボクの状況下を伝えて、殴らないように、傷つけないように気を使った。
それでもままならないことはある。避けられないことはある。
本当にこれは幸せなんだろうか。ボクが望んだ『幸せ』はこれであっているのかと何度も自問自答した。
あの時に比べたら、今のボクの状況下なんて、自分の恋が実って、好きな人とそこそこ上手くやれてるんだから幸せなのだ、なんてボクは思うことにした。
好きな人がこの世界を根本からぶっ壊そうとしてることも、それが無理なら世界の理どころか全ての理をねじ曲げて他の場所で永遠に暮らそうとしてることを見て見ぬふりをすることが、ボクが今生きているこの状況を『幸せ』だと定義付ける前提なのだから。
6/16/2024, 3:40:21 PM