「大空」
私と貴方は身分も暮らしも違った。
辛そうに、何とか生きる貴方。
そして、何の苦労もなく暮らす私。
少しでも貴方達を救いたくて。
少しでも私と貴方の間を埋めたくて。
私は食事や住処を渡した。
貴方は、貴方達はとても喜んでくれた。
このままずっと、こんな暮らしが続くと思っていた。
でも、ある日突然、私は遠いところに行くことになった。
とても悲しかった。
貴方は見送りに来てくれなかった。
身分が違っても、暮らしが違っても、来てくれると思っていた。
でも、そうはならなかった。
それから暫く遠い国で暮らして、漸く帰ることのできる日が来た。貴方に会えると思うと、とても嬉しくて仕方がなかった。
なのに。
貴方はもう、どこにもいなかった。
飢えと寒さで苦しんでこの世を去ったと聞いたわ。
また会えると信じていたのに。
とても、とても悲しかった。
いつも大空を見上げて、この空の下でいつも繋がっていると信じていたのに、私はただ希望を映し出す鏡を見つめていただけだった。
ごめんなさい。
どうして行ってしまったの?
愛していたのに。
分厚い雲がかかった大空を、今日も私は、見つめている。
12/22/2024, 12:31:56 PM