白眼野 りゅー

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【ふたり】


「思うに、クラス内に親しい友人が一人いるという状態が、もっとも過不足なく学校生活を円滑に送ることができるんじゃなかろうか」

 君のその主張は、どちらかといえば友人をたくさん作りたい派の僕からすれば正直理解できなかった。だけど同時に、君が一人より三人より、誰かと「ふたり」でいることを選んでくれて本当によかったと思っていた。

「そんなわけで、私には君しかペアワークのあてがないから、隣の席を空けておいてくれると助かる。というか、そうしてもらわないと困る」
「はいはい」

 心を隅っこに追いやった君のただ一つの隣席で、ふんぞり返っていた。


―――
――


「……というわけで、元々属していたグループからハブられたという彼女と組むことにした。君もペアワークは同性同士の方がやりやすかろう。今まで無理に私と組ませて悪かったね」

 クローズドでミニマムな君の世界に、三人目は必要ない。僕は三人目になってしまった。二人目の席を容易く追い出された。

 君の世界を広げる力もなかったくせに、「ふたりきり」に優越感を覚えてそこで満足していた、僕なんかは君の唯一になれなかった。

8/31/2025, 9:26:28 AM