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大人になって、未来図を描くことができなくなった。目の前になだれ込む塵を端に寄せることに精一杯で、未来図を描くスペースもない。どうにか確保した足の踏み場に腰を下ろし、眠りにつく日々。息抜きどころか息継ぎも怪しい。しかし、迫り来る今に揺り動かされ、些細なことで傷ついたり幸せを感じたりする日々は、美しい気がした。
ときに、未来図を手にしたかつての自分が冷ややかな目で見下ろす。それでも、等身大で今を生きる選択をしたこの日々は、きっと美しい。だから、未来図はもう要らない。

4/14/2025, 1:11:51 PM