「ねぇ今日は泊まれる?」
「いやー平日だし帰らないと」
「そっか…今週また会える?」
「今週は厳しいな、今日だって友達と飲みに行くって言ってきたし」
「えーつまんない」
紗里は不服そうな顔をして彼の腕を掴んだ。
「じゃあ俺、帰るからまた連絡するわ」
紗里の腕をほどいて彼は部屋を出ていった。紗里は1人になりため息をつきながらベッドの上に大の字で寝転んだ。
この関係はあと何年続くのだろう。考えても終わりの見えないトンネルに入った気分になる。幸せにならないのは分かってる、でもこの不淫らな恋を終わらせることはできない。それほどに紗里は彼を愛している。いつか自分を選んでくれるのではないかと期待している。やっぱり行かせたくない。彼の温もりを感じて夜を過ごしたい。起きたらおはようと言い2人分の朝食を作る。夜帰ってきたらお帰りと言い何でもない話で盛り上がり熱い夜を交わす。
部屋を出ると彼がドアを開けようとしてるところだった。
「待って」
紗里は走り寄って彼を後ろから抱きしめた。
「行かないで、私をひとりにしないで」
「悪いな紗里、でも帰らなきゃ」
彼は振り向いて紗里の唇にキスした。
「愛してるよ紗里」
そう言うと彼は家を出た。
紗里はその愛のこもってない言葉を信じることしかできなかった。
12/14/2024, 12:47:10 AM