当世、風切羽を切った天使を連れ歩くのが流行りだ。
街に出ればあちこちで天使を見かける。
雑に刈られ飛べない翼をみすぼらしく畳みぼんやりと主人の後について歩く姿に、清廉で威光に満ちたかつての面影はない。
神が死に、天上の安寧は永久に失われた。人間はその代わりに現世での加護を確保するべく、天使を地上へ繋ぎとめる強引な道を選んだ。
富める者は数多の天使を身辺に侍らせ、貧しい者はせめて折られた羽根の一枚でも護符になりはするまいかと彼らの後を追い回す。
神の死と共に教義への理解も捨てた人間の群れ、そのまた後にじっと付き従うのは大きな黒い影。
そう、神の不在は決して悪魔の消滅を意味しない。
空から堕ちた天使らの居所に相応しい世界。
この国はすでに地獄の領域。
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「飛べない翼」
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所感:
お題を比喩表現ではなく考えると、鳥か飛行機が酷い目にあう場面ばかり浮かんで辛かったので、いっそもっと派手に痛くしてみようかと天使を呼びました。
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なんの気なしに始めたこのアプリ、今日で一か月になりました。お題をもらって書くスタイルは自分に向いていたようです。まだまだ色々遊んでみるつもりです。
書いたものをアップし終えてから、他のユーザーさん達の文章を読むのも楽しみになりました。お気に入り登録もめっちゃいっぱい増えました。
毎日、同じ話題について互いに思いを巡らせ合った、その答え合わせをしている気分といいましょうか。ここに居る人間の数と同じ数だけ、違った物語が生まれている事実に深くときめきます。私、ロマンチストなので。
11/12/2022, 11:06:23 AM