あいつの事は、大体分かっているつもりだ。ずーっと昔から家族ぐるみの付き合いがあるのもそうだが、それ以前に分かりやすすぎる。
好きなお弁当は卵焼きである事、物理が何より苦手な事、そして、多分俺の事が好きな事。
試しに聞けばほら、また時計の針が止まったかのように固まる。そして段々と朝焼けの空の如く紅く染まる。分かりきっていることを聞くのは中々にタチが悪いと我ながらに思うが、この反応ばかりは可愛くて仕方がないので許して貰いたい。
固まってしまった手を引いて、いつもとは少し違う眺めの中帰路に着く。
お題:『時計がとまったかのように』
6/3/2024, 11:50:36 AM