竹子

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 いまだかつて授業中にこれほど緊張したことがあっただろうか。左から感じる視線に押しつぶされてしまいそうだ。
 私の隣の席に座る彼は寡黙であまり表情が変わらない人でこのクラスになってそろそろ一年たつが数えるほどしか話をしたことがない。
 そんな彼がずっと見つめてくるなんて私はなにかやってしまったかと記憶を掘り起こしてみると、教科書を忘れて一緒に見させてもらったり、ペンを貸してもらったり先生に当てられたとき答えを教えてもらったりと彼に助けてもらった記憶ばっかりだ。言葉は少ないが実は優しい彼でも思うところがあるのかもしれない。
 本日最後の授業が終わり意を決して理由を聞いてみようと隣を向くと、ぱちり、と目が合った。その瞬間わかってしまった、どんなに察しが悪くたってわかってしまう。耳まで真っ赤にした彼が目をそらした、常に無表情な人だと思ってたけど実は瞳に感情がでやすいタイプなのかも。

4/6/2023, 1:04:14 PM