『何もいらない』
「今日は私のためにお集まり頂き、ありがとうございます」
私の誕生日会が始まってから既に数時間経っていた。
お父さんの友達の社長さんからお母さんのお茶友達、親戚の人までたくさんの人たちが出席していた。
私が両親と共に挨拶をして回っていると、少し離れたところから声をかけられた
「ほんとにいい娘さんねぇ、テストの成績も良くて、スポーツもできてしまうなんて、ほら、バスケ部のキャプテンをやっているんでしょう?」
「生徒会もやっているんだとか、流石ですな」
「はは、いえ、これくらいできて当たり前ですよ」
「まぁ、おふたりの教育がよろしいのね」
こんな会話がされている中、私は笑顔を絶やさずお客様の方を向いてたっている。
お父さんは財閥の社長で、お母さんは病院の医院長の娘、今ではお兄さんが継いでいるらしい。
そんな両親に私は、私をちゃんと見て欲しかった。
いつもから返事で相手にして貰えないり
私は見てもらうためにならなんでもやった。
沢山勉強もしたし
沢山スポーツでいい成績も収めた
沢山家事の手伝いもしたし
沢山、沢山、なんでも、
それも全部だめだった。何も変わらなかった。
次に私は色々なものをねだった。
参考書にぬいぐるみ、食べ物からアクセサリー
どれだけ高価なものをねだっても、私の手元に来た。
望んだものは全て手に入った。
両親からの目(あい)以外は。
周りからしたら高価なほど価値があるかもしれない。
けれど私にとって宝石はただの石と変わりなかった。
何をしても無駄なのならば、
本当に欲しいものが手に入らないのならば、
私は他に何もいらない。
4/20/2023, 11:17:18 AM