於菟

Open App

「大丈夫...ですか?」
大雨の中うずくまっていた私に
1人の男性が傘をさしてくれた。
今にも泣きそうな他人の話を
彼は嫌な顔ひとつせず聞いた。
気持ちが落ち着いた私に
「では、気おつけて」
と言って帰った彼は、今や私の彼氏である。
今思えば、なんだかドラマのワンシーンのような出会い方だなぁなんて笑
仲の良い関係を築けていたと思ったのに....
「別れよう」
唐突に言われた言葉
私にとって信じたくない言葉
なんで?どうして?何が不満だったの?
聞きたいことは山々なのに、上手く口が動かない。
この現実から逃げるように家を出た。
どこまで走ったか分からない
段々とコンクリートの色が黒くなって
ザーザーと大きな音をたて始めた。
私の号哭さえ、神様には届かない。

『ドラマみたいな出会いの先は』

10/10/2025, 12:27:29 AM