たくさんの炎が揺らめく部屋の中、数名の男女が語り合っている。
「―――そして、こっそり見てみると、そこに写っていたのは―――だったんだって」
そう1人の女が話し終わると同時に炎を1つ吹き消す。
順々に話していき、1人が話し終わるごとに炎を消していく。
「いやぁ、そんな事あるんだね」
「それは怖すぎるわ」
各々の話を聞き、皆思わず言葉を漏らす。
最後の1人が話し始める。
「あのさ…、水を差す用で悪いんだけど…、これは何?」
他の人たちは顔を見合わす。
「えっ?何って?」
「いやいや、この集まりだよ!何でこんなにアロマキャンドル焚いて、怪談話風に恋愛トークしてるの!?色々焚きすぎて臭いわ!」
「えーっ、今回のテーマ聞いてないの?」
「聞いてないよ!」
「あっ、ごめん。俺伝え忘れたわ」
「ちょっと、言っといてよ」
「悪い悪い。今回は恋愛百物語するんだって」
「そうそう。恋愛の恐怖体験を語っていくの」
「なんて下世話な…。普通の百物語でいいじゃん」
「だって私心霊系無理だもん」
「そうだとしても、このキャンドルは?普通の蝋燭でいいだろ?」
「こっちの方が可愛いじゃん」
「……」
「まっ、諦めて続きやろうぜ」
最後の1人は長いため息をつくと、語り始めた。
『キャンドル』
11/19/2022, 10:34:29 AM