とある恋人たちの日常。

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 うーん。
 少しだけ胃がムカムカするというか……。
 
 俺は病院の裏にある公園でひとり座っていた。
 都会の喧騒の中でひとりで天を仰ぐ。眩い光が差し込んで暖かいけれど、心の中にあるトゲが身体を冷やしていた。
 
 そうだな。
 俺は今、怒っているんだ。
 
 目を閉じて深くため息を着く。
 脳裏に浮かぶのは、想いを寄せる彼女のなんとも言えない顔だった。
 呆れたような、悔しそうな顔。
 
 いつもキラキラとした笑顔を見せてくれる彼女。
 先日、悩みを聞いたら想像より重い相談が来て驚いた。あの時も悲痛な表情を初めて見て胸が締め付けられた。
 
 今回は、同期の友人が何度も何度も人に迷惑をかけていて……。公正して欲しくて手を差し出していたのに、彼女の友人はそれを無碍にしていた。
 
 その事を知ったのはたまたま見かけて話を聞いた時に、その友人について相談されたからなんだけれど……。
 
 ダメだな。
 時間が経てば経つほど腹が立ってくる。
 
 本当に彼女を面倒なことに巻き込まないで欲しい。
 
 医者としてじゃなく、ひとりの人間として思う。
 俺は彼女に笑って欲しいのに。
 
 ただ彼女だけには――
 
 
 
おわり
 
 
 
三六一、ただ君だけ

5/12/2025, 11:18:39 AM