♯フラワー
栄枯盛衰。諸行無常。生者必滅。
匂い立つほど美しい花であっても、いつかはしおれて曲がり、黄ばんでくすみ、粉をふいたように干からびて、カビと虫に犯され食い荒らされていく。
絶頂から転落していく様を見るたび、私は自分で自分の首を絞めたくなる。ああ、どうして時は止まってくれないのだろう。
「そろそろ寿命かしら?」
母がドライフラワーを見つめながら、ため息を吐いた。
折れ曲がった腰。シミの浮いた手。気色の悪い横顔は、皮膚がたるんで皺だらけだ。
――なんてみにくい生き物。
――けど、私もいつかああなる。
私は母から視線を引き剥がす。思い出の中の美しい彼女をこれ以上汚したくなかった。
老いていく自分を見つめて狂わずにいられるだろうかと、私はこれからを思って暗然とした。
4/8/2025, 3:32:57 AM