300字小説
甘いレベルアップ
「はい。カナちゃん」
幼稚園のとき同じヒヨコ組の友達のタッくんが私にバレンタインチョコをくれた。溶かしたチョコをアルミケースに入れて、スプレーチョコで飾った手作りチョコ。それが始まりだった。
「はい。カナちゃん」
小学生ではチョコチップクッキー。
「はい。カナちゃん」
中学生になるとガトーショコラ。
「はい。カナちゃん」
高校生では、なんとザッハトルテ。
これがきっかけでお菓子作りに目覚めたというタッくんは、以来、毎年、レベルアップしたチョコを私に送り続け……。
「結婚式、バレンタインデーだからさ。ウェディングケーキ、俺がチョコレートケーキ作るよ」
今年は隣で楽しげにスポンジケーキとバタークリームを作っている。
お題「バレンタイン」
2/14/2024, 11:41:29 AM