運命の人は2人いるらしい。
1人目は愛することと失うことの辛さを教えてくれて、2人目は不変の愛を教えてくれる人、なんて、そんなの迷信だ。
夢物語に縋りたい人達の腑抜けた思想だと、君と出逢うまでは、本気でそう思っていた。
「本当、変わったよね」
付き合ってから、周りの人達に何度も言われた。
そう思った理由を聞くと、大抵、誤魔化された。
「私たち、運命だと思うの」
恥ずかしい台詞を、恥ずかしげもなく言う彼女に、本当にそうだったらいいな、と思った。
「子どもができたらさ、愛って漢字をつけたいな」
僕達は、きっと誰よりも幸せだった。
「ちゃんとご飯食べるんだよ」
「そっちもね」
お互い、ずっと、わかっていた。
今まで見ないふりをしてきた。
付き合ってから弱くなったこと、好きだけじゃ一緒に居られないこと、それでも一緒に居たかったこと。
「じゃあ、またね」
きっともう、僕たちが会うことはないだろうけど、
君は間違いなく、僕の運命の人だった。
《君と出逢って》
5/5/2024, 1:45:04 PM