酸素不足

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『冬になったら』


俺と比べたら、一回り以上細い手首。
体重は、出会った頃の半分になってしまった。
デートの度に、可愛くアレンジしてきてくれた髪は、一本も残っていない。

「寒くなってきたね」

それでも、笑った顔は変わらない。

「イルミネーション、どこ行きたい?」
「……そうだなあ。日本で一番電飾使ってる所がいいな」
「調べておくよ。クリスマスはケーキもピザもチキンも食べような」
「ふふふ。楽しみにしてる」

きっと、彼女はイルミネーションを見られないだろう。
クリスマスを楽しむこともないだろう。
冬になったら、彼女の命は終わってしまう。
それでも、奇跡を願うことはやめられない。


冬なんて、来なければ良いのに。

11/17/2024, 1:12:43 PM