Unknown

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「どうして」

結局、私は誰かと生きるのに向いていないのだ。理解を求めることすら、烏滸がましかったのだろう。そんな簡単なことに気がつくのに、こんなにも時間がかかってしまった。

「なんか最近、みんなといるのしんどくなってきちゃった」
「……どうして」
「……ごめんね」

これまで一緒にいたことの方がおかしかったのだ。それくらい、私はみんなとは違っていた。変わっていることはずっと分かっていた。それでもいいと、受け入れてくれているのだと、信じていた。そうじゃなかったと気がついてしまったのだ。

結婚するなら〜〜とか、子供ができたら〜〜とか、そういう話題になる度に心が痛かった。昔から、恋愛に興味がないことも、結婚をするつもりがないことも、公言してきたはずだ。周りがみんな恋愛に興味津々な中でそういうことを言うのは、それなりに勇気がいることだった。家族にいうのはもっと。

それでも隠さずに伝えて、受け入れられているのだと思っていたのだ。でもそうではなかったらしい。しかしそれも仕方ないのかもしれない。世間的に見て、私の方が少数派であることは事実で、多数派の人は少数派の存在に目がいかないのだろう。違う考えの人間のことは透明化されて、見えないのだ。

それ自体は仕方ないと理解ができる。ただ、理解ができることと、共存ができることは別で、私はこれ以上否定された気持ちになるのは嫌だった。それが信頼している人からだから余計に。

離れるのはこれ以上傷つきたくないからだ。傷ついたことにすら気付かれたくないからだ。一緒にいると辛いから、離れることにしたのだ。嫌いになったわけじゃなくて、嫌いになりたくないから離れるのだ。

理由を伝えると傷つけてしまいそうだから、何も言わずに去ることにした。私だったら、自分の何気ない言葉で誰かを傷つけていたと知ると傷ついてしまうから。

どうして、に何も言えなくてごめんね。どうか私の知らない場所で幸せになってね。

1/14/2026, 11:27:36 AM