秋月

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カチッ

「お前、こんな真夜中に何してるんだ」
「! んん、んんんんんんん。たべる?」
「食べない」
「じゃあたべちゃお」
「そんなに腹が減ったのか?」
「んーん、べつにすごくおなかがすいたわけじゃないんだけど、なんかたべないと? って」
「食べないと死ぬ訳でもないなら、これ以上食べるのは止めておけ」
「えー、だめ?」
「体に悪いだろう」
「はぁ~い」



カチッ

「今度は何してるんだ」
「てれびげーむ」
「なぜこんな時間に……」
「わるいこたいけんかい?」
「まぁ、この程度の事でお前が目を悪くするとは思わないが、夜は寝たらどうだ」
「……はぁ~い」



……カチッ

「今日は何を?」
「げっこうよく! だからでんきけして?」
「……まぁ月光浴なら仕方ないな」
カチッ
「それで、何で月光浴をしてるんだ」
「つきあかりが、"まな"をかいふくさせるのはしってるでしょ? でもまんげつのひじゃないとぜんぜんかいふくしないの。だからきのうまではその……れんしゅう? みたいな」
「お前……」
「でも、ここおつきさまとおいのかな……。あんまりかいふくしないや」
「確かに、月は遠いだろうな」
「まぁいっか、ここでねたらそれなりにかいふくはするとおもうし」
「せめて何か羽織ったらどうだ」
「えー、かげできちゃうのに」
「そのカーテンと同じぐらいだ。そこまでじゃない」
「……しょうがないなぁ」




そう言って笑ったお前は、あの日と同じ顔をしていた。

5/17/2023, 12:42:12 PM