星が溢れる夜、一緒に祈ったの、覚えてるかな?
星がケーキのアラザンみたい、なんて言う人がいるけれど、それじゃ言い切れないくらい、星に満ちていた。
「知ってる?こうやって落ちてきた星に夢を願うの」
手のひらを重ね合わせて先輩はそう言った。
「そんなの、意味あるんですか?」
「それがあるんだな〜」
教室の椅子に腰掛け、机に足を乗せながら話す姿は卒業してしまった先輩に似ている。あの先輩も、こんな1日中、星空しかないこの部屋で勉強していたと思うと、驚く以外の言葉がない。
「先輩、どこに行ったと思う?」
「そりゃ、都心の方の、昼と夜の分け目がある学校でしょう」
「この時期、願いが増えるのにしたがって星も増えるんだよ。だから、都心の方に行っても星空なのは変わらないらしいね。」
この次の日、先輩は教室にいなかった。星を拾い、願いを叶える委員会に入っていたらしく、教室に来るのはめっきりと減ってしまった。
先輩が気付くかわからないけれど、私も星に願いをかけておく。
『先輩が、私を見ていてくれますように』
みんなが星を好きなように、星が好きになれなくてごめんなさい。だからこそ、星じゃなくて私を見てくれたあなたといつでも一緒にいたかった。一滴の独占欲を星に隠して願います。
@星が溢れる夜
3/15/2024, 3:40:04 PM