ほろ

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ぼくはシオタ。まっしろでシオみたいだから、シオタ。
ご主人様は、ちょっと腰が曲がったササキのおじいちゃん。

ササキのおじいちゃんは、いつも同じ時間にさんぽに連れていってくれる。おひさまが赤くなり始める時間に、家から出てきてぼくをさんぽに誘ってくる。
時間が同じなら、さんぽコースも同じ。家から左に出て、川沿いを歩いて、橋と反対方向に行って、チワワのハルちゃんがいる家を右に行って、ぐるっと一回り。
たまには別の道を行こうよ、って首に繋がれたヒモを引っ張るけど、ササキのおじいちゃんはそんなの知らんぷりする。

ササキのおじいちゃんの考えは分からないけど、別に同じ道じゃなくたっていいのになーって思う。
「シオタ」
それでも、同じ道だと分かっていても、ぼくはササキのおじいちゃんに誘われたらついていく。ぼくを連れ出してくれるのはササキのおじいちゃんしかいないし、ササキのおじいちゃんのさんぽ相手もぼくしかいないから。

だから、長生きしてね、おじいちゃん。ぼくは、おじいちゃんとふたりで歩くさんぽコースが好きなんだ。

3/5/2024, 3:21:28 PM