NoName

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「ねぇーー!!」
「ほんっとごめん! またいつか埋め合わせするから!」
「ほんっとどーゆーつもり!?」
目の前で申し訳なさそうに頭を下げる彼に叫ぶ。
ほんと信じられないこの男!
約束の時間をオーバーしたあげく、「予約した」と言ったレストランも予約ミス。それ上財布も忘れて私に奢られる始末。
しかも今回ばかりじゃない。前もその前も同じか…それ以上のことをやらかしてる。
学習しないのかこの男!!
「ごめんっごめんって! ほらこれあげるから」
おもむろにポケットから何か取り出す。
ミルクキャンデーだ。私が好きなやつ。
私はこうやって私はいつもこの男を許してしまう。前回はチュッパチャップス、前々回はグミだっけ。
なぜかもう、彼に対する怒りは消えていた。
「……あーあ、私はそんなあんたでも嫌いになれなかったからなーこれまでずっと」
「これからもだろ」
自信満々に言う彼に、私は思わずため息をついた。

7/13/2023, 7:04:43 AM