夢の中で大好きな推しが出てきた。
私は夢の中で目が覚めると、推しの家のベッドに横になって寝ていた。推しの声が聞こえると思い周りを見渡すと、近くのゲーミングチェアでゲーム実況をしていた。
私はこれが夢だということに気づいたので、「ああ、夢なのか」とがっかりしたが、こんな機会滅多にないので、じーっと推しが実況している背中を見ていた。
数分で実況は終わり、みんなまたねーとあいさつをする。
ヘッドフォンを外す。ゲーミングチェアを降りてこっちを向いた。
「あ、起きた?おはよう」
推しにおはようって言われた。私は驚きと緊張で心臓の音が止まらなかった。
「あ、おはよう…ございます」
絶対に、顔が固まっていて強ばっていた。
私が緊張しているのが伝わったのか、アイス食べる?と言ってくれたので、ありがとうございます。というと、タメ語でいいよと言ってくれた。
推しの家で推しとアイスを食べる。タメ語で会話をする。でもタメ語なんて推しを実際に前にすると話せる訳がなく、ほぼ敬語だった。こんな経験二度とできないと思うと、テンションが上がって緊張が解けてきた。
だからいつも伝えられない感謝を伝えた。
「せなくんの配信いっつも見てて、ほんとにほんとに大好きで、特に先月の配信のホラゲーの配信大好きです!面白くてお友達とかにも見せたらみんなハマっちゃって!笑これからもずっと推しです!応援しています」
喋りすぎた…と少し恥ずかしくなった。
せなくんは、ははっと笑いながら「ありがとう笑こんなに面白い子が僕の視聴者にいたなんて笑笑」と言ってくれた。
その瞬間、せなくんには他にもファンが沢山いることを思い出した。私だけがせなくんの家にいて、一緒におしゃべりしているのに罪悪感が湧き、家に帰ろうと決意した。今ここはどこにあるか、私の家がどこにあるかなんて知らないけど。
「少しの時間だったけど話せてほんとに嬉しかった、ありがとうせなくん」
私はせなくんともう会えないと思うと一層帰りたくないという気持ちが強くなった。
目には涙が溜まる。それが溢れそうになるとせなくんは私の手を両手で握ってくれた。
「君に会えて良かった、ありがとう。今日のことは二人だけの秘密」
二人だけという言葉が嬉しかった。
私はうん!と元気よく返事をして、推しに手を振られながら玄関のドアを出た。
ドアを開けたその時、私はまたベッドで横になっていた。でもここはせなくんの部屋ではなく、私の部屋だった。現実世界に帰ってきちゃったかーと気分が下がってしまったが、推しと私の二人だけの秘密が出来たのが嬉しく、この夢はずっと忘れられない思い出になった。
友達に話したかったけど、せなくんに秘密と言われたので誰にも話さず、私と、私の推しだけが知っている秘密となった。
7/16/2025, 3:20:33 AM