私はアイツのことが…
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私には幼なじみがいる。
私が2歳でアイツが1歳の頃から一緒だ。
私は中学校からは地元の学校ではなく、
中学受験をして地元から
少し離れた学校に通っている。
そして、アイツも同じ学校に通っている。
中高一貫校だから、このままだと約16年間、
一緒の学校に通うことになる。
友達にはよく
「2人って付き合ってるの?」
って聞かれるんだけど、そんなわけがない。
まず、アイツを恋愛対象として見たことがない。
小さい頃から、私にとってアイツは
弟みたいなものだったから。
今さら恋愛対象としてみようとしても、
すごく違和感がある。
やっぱりアイツとは今と同じように、
ただ仲の良い幼なじみという関係のままがいい。
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そんなことをぼんやりと考えながら、
部活が終わって、私はアイツのことを
昇降口で待っていた。
電車が同じ方面の人がアイツしかいないから。
アイツが「待ってて!」って言ってたから。
帰っていく友達に
「やっぱり付き合ってるんじゃないの?」
と聞かれる度に私はそう答えていた。
心の中ではどこからどう見ても
カレカノには見えないでしょって思っていた。
アイツは運動部だから、
最終下校時刻のギリギリまで部活をしている。
私は文化部で、1時間未満で終わるから、
1時間ほどアイツを待っていることもある。
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そして、あの日がやってきた。
いつも通り、私はアイツを待っていた。
アイツが部活から帰ってきて、
アイツが制服に着替えてる間に
友達と少し話してから下校した。
校門をくぐった後に、
「今日も疲れた〜」
って言いながら空を見上げると
すごく曇っていることに気づいた。
傘を学校に取りに帰ろうとしたけれど、
そしたら、アイツが
「大丈夫、俺が持ってるから」
って引き止めたから、
結局取りに帰らずにそのまま帰ることにした。
駅までの道のりが約半分過ぎたぐらいで
案の定、雨が降ってきた。
「ほら〜、降ってきたじゃんか〜」
と私はアイツに文句を言っていた。
アイツは
「俺のせいじゃねーだろ。ほら、この傘使えば?」
って持ってた傘を渡してきた。
「ありがと〜」
って返しながら、傘を受け取って開いた。
でも、少しすると雨が本降りになってきて、
私はアイツが濡れてるのが気になったから、
「一緒に入ろーや」
って声をかけて傘を差し出した。
アイツは
「おう、ありがとう」
って言いながら、傘を私の手から取り、
「ほら、こっち側来な。
そっち側やったら車通ったら濡れるやろ?」
と車道側に移動してくれた。
なんか、いつものアイツじゃない気がして、
少し戸惑った。
それからはいつも通りしょーもない会話をしながら
駅まで2人で歩いていた。
でも、私は途中から違和感を感じていた。
何だろう、と考えながら歩いていると気がついた。
すれ違う人の視線だ。
私たち2人を笑顔で見ながら通り過ぎていく人、
めちゃくちゃ睨みつけながら通り過ぎていく人。
いつもは感じない視線があったからだと気づいた。
電車に乗ってから、友達とL○NEをしていると、
「2人は本当に付き合ってないの?」
というメッセージが来た。
その子に理由を聞くと、
「今日の帰り道、2人の後ろを歩いていたら、
相合傘してるのを見たから」
と返ってきた。
その時になって、
私はすれ違う人の視線の意味などが分かった。
その子からさらにL○NEが来て
「めっちゃお似合いだったよ!
付き合うこととか考えたことないの?」
って聞かれた。
私はその質問に対して
「まず恋愛対象じゃないから」
って答えた。
いつもと同じ答えのはずなのに、
少しモヤッとした気がした。
家に帰ってから、その日1日のことと
今までのアイツとのやりとりなどを
思い返していた。
そして、私はあることに気づいた。
それは、アイツとのやりとりとか
アイツの言動をとても覚えているということ。
本当は自分の気持ちに
ずっと前から気づいていたこと。
その気持ちに自分で蓋をしていたってことにも。
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私はアイツのことが…
好きだ。
それに気づいてしまったことで悩んだりもした。
明日からどんなふうに
アイツと接したらいいんだろうって。
明日、帰りしに聞いてみようと思った。
好きな子のタイプとか。
今、好きな子がいるのかどうかとか。
さりげなく友達の相談に見せかけて、
自分の気持ちを相談してみようかなとも思った。
とにかく、もう少しアイツといろんな話をしてから
伝えるなら伝えてみようと思う。
#相合傘
6/19/2023, 11:52:56 PM