ケーキ屋さん、お医者さん、保育士さん…。
幼い頃から夢見がちな少女だった私は、中学3年生になって初めて将来の選択肢に迫られていた。
進路先調査表と睨めっこをしながら、宙に浮かぶまとまらない意見を荒く縫いつける。
そりゃひとつの職業に絞らないといけないのは分かってる。それでも全てを経験してみたい!だなんて思ってしまうのは 強欲 と言われてしまうだろうか。
どれも魅力的で、キラキラと輝いて、永遠の憧れで。
だからこそ優柔不断な私は頭を悩ませていたのだ。
猫背になりかけていた身体をぐぐ、と伸ばして、憧れの職業を全て出来るような夢の職業を探しにパソコンを開いた。ほぼ投げやりだが、検索しないより行動に移した方がマシだろうと考えたのだろう。
『 夢 お医者さん ケーキ屋さん 全部やりたい 』
検索タブにそんな傲慢な言葉を打ち込む。どうせ無理なんだよなぁ…と呆れ半分に検索結果を開いた。
その瞬間、世界に色がついたのだ。
若手女優の発掘オーディション。
大手芸能事務所が出している、倍率数百倍のオーディションが視界に飛び込んできた。
そうだ、女優ならなんの職業もできる。ケーキ屋さんにだって、お医者さんにだって、保育士さんにだって。
衝動的に応募をして、何とかして両親と教師を説得して、書類作りに日々の時間を費やして…。
身体を作り上げ、歌声を磨いて、笑顔の練習をして。あくる日もあくる日も血のにじむような努力を怠らず、なりたい自分を目指してがむしゃらに突っ走った。
そして掴んだグランプリの座。
ドラマの主演作品にて女医役を、話題作にてケーキ屋さんの看板娘を。
あぁ、なんて楽しい人生だろう!
生涯ずーっと、『夢を見ていたい』。
1/13/2026, 10:37:52 AM