『日の出』
出窓に腰かけて、空を見ていた。ずっとイヤホンをしている耳は痛くて、でも膝を抱えたまま、動かなかった。
もしかしたら何度か寝てしまっていたのかもしれないけど、一晩中起きていたと思う。中学生の自分にしてはすごい記録だ。
夜中、信号機が点滅になって、動く明かりはほとんど消えて、それから街が遠くなるような景色を見た。
高台にある家の窓から、星を数えた。月は山に沈んだ。
その星を飲み込むように少しずつ変わりゆく空は、紺、紫、桃、橙と、時間をかけてゆっくり、ゆっくりとグラデーションのように街を包んでいく。
初めて見た、朝の始まり方。
何だか分からないけれど一つ大人になったような、この世界の秘密を知ってしまったような気がした。
1/3/2025, 11:00:43 PM