はらり。
優しい赤の花びらが1つ落ちた。
「良いお年を」
そう言ったばっかりだったのに。
あけましておめでとうって伝えたかった。
今年もよろしくって笑顔で言うはずだった。
涙が溢れて止まらない。私の大切な人が新年に亡くなった。
私たちは家庭環境があまり良くなかった。親戚や友達にも恵まれず、ただ生きたくないと思ってしまうほどに。
逝きたいけど生きたい。
そんな矛盾を抱えた、子どもだった。
出会ったのは偶然で、たまたま図書室で同じ本を読んでいるというだけだった。
いつしか青空の下で叶うかも分からない希望と夢を抱いて語り合った。
来年も生きれたらいいなって希望を持っていたのに。
神様は理不尽だ。
なぜ彼のような人が生きれないのか。なぜ彼が逝かなければならなかったのか。
いや神なんていないんだ。
一緒に庭に植えた赤いサザンカの花。困難に打ち勝つ。そんな花言葉の。
花びらが散って、枯れてしまったその隣にはネリネという花が咲いていた。
「私もだよ。」
また1つ滴が落ちた。
ネリネの花言葉:また会う日を楽しみに
ー2024,1,1
『良いお年を』
1/1/2024, 5:41:49 AM