星に願って、本当にその願いは叶うのだろうか。「星」というのはあくまで対象であって、別にほしでなくたって良いのではないか。
「星はずうっと空の上にあるでしょ。だから、星に願って、って言うんじゃない?」
俺の言葉に、彼女はそう言って微笑んだ。ずっとなんてない、昼には見えなくなる、と返せば「見えないだけだよと笑われた。
「太陽の光が強いだけ。星はずっとそこにあるんだよ。」
「……だからって、星に願うこともないだろ。願うなら、もっと……願いを叶えてくれそうなやつにしろよ。」
彼女はまた笑った。でも、きっと星じゃなきゃ。願いなんて叶えてくれないよ、と。
叶えてくれない。……違う、「叶えらえない」だ。
俺が何よりも叶えてやりたかったのに。俺は神様じゃないから。
だからせめて……叶えられなかった分、俺は彼女を思い出すことにしている。
星になって、永遠に空の上に存在している……願われる側になってしまった、病室で笑っていた彼女の姿を。
2/10/2025, 2:58:24 PM