生まれたときから持て囃された。一歳になる前に読み書き全般と走れるようになっていた。辺鄙なところだったからすぐにそのことは伝わった。麒麟児だとか街始まってからの才児だとか言われた。小学校に上がるまでは少し天狗になっていた。
だが小学校に入学すると何も考えずに自分を褒め称えた取り巻きたちが自分を遠ざけ始めた。何故かと理由を聞くと「何でもできてしまうから、勝負にならないと言われた。」
そういうものかと思いその取り巻きたちと関わる事をやめた。そうして小学校を卒業して小学校の同期と遭遇するのが嫌だったから遠く離れた名門中学に入った。思春期に入ったからか今まで遠ざけられていただけだったのに陰湿な嫌がらせへと変貌した。相手にするのも馬鹿馬鹿しかったので無視した。同じような繰り返しでどんなエリートでも結局は人間なんだなと実感できた学生時代だった。
社会に出ると最初は業績をバンバン出してもの凄い勢いで出世していったが自分を妬む人の手によって社会の不適合者として追い出されてしまった。
そうしてみすぼらしく生活して目立たない人生を歩んだ男が私だよ。そうキセルを吹かせながら老人は言った。その後に「いいか?少年、特別と異質は紙一重なのだよ」と俺に言ってきた。そう人生の苦痛を刻んだ彼の皺と見上げている彼の瞳を見ていると彼を俺は「特別な存在」だと思った。
この物語はフィクションです。
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お題特別な存在
3/24/2024, 4:15:26 AM