「これまでずっと」
これまでずっと爪切りを使った事がなかった。爪を噛む癖がなかなか治らなかった。いまの夫と結婚して、ようやく普通に使えるようになった。
中学三年生の時、友人のMちゃんによく注意された。祖母が入院していたので、家事をせねばならず大変な時で、そんな最中に
「爪を噛んじゃいけない」と何度も言われた。それで、言われるのが嫌かと言うと、私はなんだか嬉しくてたまらなかった。自分の事を気にかけてくれる、おせっかいな誰かがいた事は、あの頃、心を和ませてくれた。
爪切りが使えるようになった、その事は、わたしを無条件で愛してくれる人が傍にいるという事だ。望んだことなどないのに、そんな人が私には必要だと、巡り合わせてくれて「この人と結婚するよ」と毎日毎日語り続けてくれた、神さま、ありがとうございます。こんな奇跡がやってくるなんて思いもしなかった。
夫に悲しみを語ることは、心臓にこびりついたままの傷を洗い流してくれた。これまでずっと、私の悲しみに耳を傾けてくれる人は誰もいなかった。それは、簡単なことのようで、誰もができることではない。
だから、死にたいと思ったら、誰かに話すと良い。でも、そんな人いないよ、という方は、ノートを一冊準備して書いて下さい。神さまが読んでくれます。そして、無条件で、ありのままのあなたを愛してくれる人と出会わせてくれます。だって、こんな私に奇跡が起きたのだからね。
7/12/2023, 1:35:43 PM