—こたつ—
こたつに潜り込みながら、耳を澄ます。
雪を踏む足音、それから近所の小学生達が雪合戦をする声。寒いのに随分と元気な声が聞こえる。
「あったかいね、ユキ」
私は一緒に寝ている飼い猫に言った。
童謡にもあるように、冬は『ネコはこたつで丸くなる』のだ。
小学生の頃は、この時期も外で遊んでいた。年をとってからは、こたつでずっとこうしていたいと思うようになった。『年をとって』ってまだ高校生だけど。
そんな至福の時間を邪魔するように、ドタドタと足音が近づいてくる。
「うわっ!」私とユキは驚いた。こたつの毛布を突然めくられたのだ。寒い。
「あんた、いつまでゴロゴロしてるの!」
母が来た。
渋々、私はこたつから出て自分の部屋に向かった。ユキはまたこたつで丸くなった。
「ユキ、ちょっと入るね」母が言った。
その言葉を聞いて、私は踵を返し、こたつの中に入った。
当然、場所の取り合いになる。
「おうおう、騒がしいな」父もやってきた。
こうして始まる、我が家の恒例行事。
名付けるなら『こたつ争奪戦』
あぁ、冬だなぁと私は思った。
お題:冬の足音
12/4/2025, 4:38:16 AM