みんながいいよって言ったから美容院の予約をとった。
もう12冊目になるノートを可愛くデコっていく。青色のノートだからこれからの季節に合う海をイメージしてみた。カラーペンでイラストを描き、シールやラインストーンでコラージュ風に仕上げていく。最後にわたしたちの名前を書いたら完成。
「喜んでくれるかな」
ノートに今日の出来事と連絡事項を記して、机の真ん中に置く。ちゃんと希望の髪型からオーダー方法まで詳しく書いておいたから大丈夫だよね。
次の日は目一杯オシャレを楽しもう。待ち遠しいな。
アラームの音で目が覚める。最近流行りのポップで可愛らしい曲に変わっていたから昨日は『わたし』の番だったのだろう。
丁寧に手入れされた髪と肌は見事にツヤツヤプルプルで、部屋の中もクローゼットの中も夏仕様になっていた。さすが『わたし』だ。完璧でしっかり者の私たちのお姉ちゃんは頼りになる。
机の上のノートはデフォルメされた私たちの似顔絵ときらめく海面をモチーフにしたコラージュで可愛らしくデコレーションされている。
「かわいい」
まじまじとデコレーションされた表紙をみて堪能してから中を確認した。前の日から1週間経っていたから11冊目も確認しておかなければいけない。とりあえず昨日の記録を読んで、美容院の予約がされていることが分かった。オーダー方法からその内容を書いたメモまである。抜け目ないな、ありがたいけど。
時間までまだ余裕がある。作り置きされているだろう朝食を食べてゆっくり支度しよう。
「便利な人格ばっかりだったらいいのにね」
私のようなだらしないやつは出てこなくていいだろうに。この身体は大変だな、本当に。
【題:昨日と違う私】
5/22/2025, 1:07:39 PM