ゆかぽんたす

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これを読んでるってことは人生に絶望したのかな?
10年前の私、お疲れさま。
人生いろいろあると思うけど、笑う門には福来たるだよ!いつでも笑顔をたやさないでね。



「は……能天気すぎでしょ」
抽斗の中を片付けてる最中に見つけた水色の封筒。何かと思って開けてみたら自分からの手紙だった。“10年前の私”、ってことは27歳に書いたのか?なんで未来の手紙がこんなところに。どういう仕組みでこんなものが存在しているのか分からないけど、それにしてもひどく他人事な文章だなと思った。
未来の私は悩みなんて無いのかな。今の私はまだ学生の身だから正確には大人とは呼べない。気持ちはまだまだガキっぽいところがあったりする。相手の顔色とか機嫌ばかり気になっちゃう。今日もクラスのあの子から嫌がらせ受けたけど、何も言い返せなかった。10年後の私が見たら何て言うかな。この文章からして、情けないっ!とか無駄に正義感振りかざしてきそう。やられたらやりかえしなよ、とかも言いそう。それができたらやってるってば。
「はあ。……ん?」
手紙は1枚ではなかった。もう1枚、便箋よりもひと回り小さな紙が入っている。広げるとそれはハート型のメモ用紙みたいな紙だった。その中心に、大きく書かれていた言葉は、
「ケ・セラ・セラ……」
なるようになる。たしかそういう意味だったっけ。思い出しながらもう一度呟く。ケセラセラ。すると不思議と重たい空気は緩和されてゆく気分になった。どうにかなる。なるようになる。そんな気がして。さらに呟く魔法の言葉。
「ケセラセラかぁ」
思い悩んでいたことがちっぽけに感じられた。不満も悩みも尽きない、そんな年頃だけど、どうにかなるって思えたからぐっと心が軽くなった。10年後の私、ありがとう。きっとどっかで見ていてくれたのかも。大人になった私は優しいんだな。
じゃあ、もう少しだけがんばってみる。密やかに決意して、ハート型のそのエールの紙を再び抽斗の奥にしまった。

2/16/2024, 9:32:49 AM