遠いところへ夢を見に行こう。まだ見えない未来をぼうっと手に掴むみたいに彷徨わないと。亡霊になったとき道に迷わないくらいには世界に慣れてしまう歩行術だけ覚えよう。街へ行った回数を覚えている?僕は覚えていないけど、君が覚えていたらどうしようって思うよ。世界の理不尽を嘆いていたら時間が尽きてしまいそうだから、店先の甘い匂いで誤魔化すしかないか。新しいパン屋さんができたんだって。パン屋さん好きなんだよね。
家の前の曲がり角の前のあたりでいい香りがするのがなんでかなって思ってたんだけど、それは結局コインランドリーだってことがわかったよ。なんで気付かなかったんだろう。染み付いた習慣みたいにもうなくなったテナントを訪ねている毎日もいつか忘れてしまうんだろうな。
街へ行こうよ。歩き慣れて飽きた街を自分の頭の地図に変えるみたいに何も見ないで、忘れてしまった日常の欠片集めにいこう。辿り着かないで。遊園地のお気に入りのコースターに乗ってすぐ帰る人みたいだよ。どこにも辿りは着かないで、ここに居続けないで、悲しまないで。
1/28/2024, 2:53:38 PM