『終わらない物語』
気付けば私は知らない森にいた。
彷徨う最中に見つけたのは不思議と
懐かしみのある洋館。
大きな扉を開けると洋館内を掃除していた
住人たちが歓迎してくれた。
お酒を飲んでパーティ。
楽しく過ごしているうちに眠ってしまった。
目が覚めると酔いも飛ぶようなことが起きていた。
洋館に入ったときから時間が
全く進んでいなかったのだ。
住人に聞くと...
「僕たちは台本に書かれた通りに動いている。
次のページが破られて台本が進まない。」
ならみんなで探そう。
そう提案して洋館の隅々を探した。
客室、ロビー、浴室...
どこを探しても見つからない。
壁に手をかけ一息つくと壁が凹み隠し扉が開く。
恐る恐る1歩ずつ進むと整列された不気味な棺と
破かれたであろうページが落ちてあった。
喜びながらみんなの元へ走っていくと
既にみんな集まっていた。
みんなの元へ近寄ろうとした時、
話し声が聞こえた。
「あの子の代わりが台本通りに来た。
あとはあの部屋で...」
なんのことかわからない。ただ1つわかるのは...
私は誰かの代わりということだ。
そんなの嫌だ。
私はこの物語を終わらせて家に帰るんだ。
どうにかして...終わらせないと...
どうすればいいかを考えていると置時計の近くに
少し錆びた秒針を見つける。
すごく鋭い...これなら...
私はゆっくりとみんなに近付いた。
目を覚ますとみんな同じタイミングで起き上がる。
荒れた部屋、ボロボロの衣装、
そして赤いカーペットの真ん中に
娘の動かなくなった体。
「「「「また...バッドエンド...」」」」
衣装を直して洋館の掃除をしよう。
そして待とう...また台本通りに動く役者を...
語り部シルヴァ
1/25/2025, 11:13:19 AM