まだ夢を見ていたい黎明の頃
水を飲んでも、窓を開けても、沈む藍色が名残惜しい
眠る君の温もりに引き寄せられて、また潜る
傷だらけの胸に耳を傾けてみれば視界が歪む
君が、他ならぬ君が生きている
鼻を啜る音も、喉が引き攣る音も、何も気に留めず
君は穏やかに眠っている
弾丸の代わりに穏やかな雨が降り注ぐようになった
骸は命を育み、頼りない苗を鉄屑が支えるだろう
崩落する時代の谷間から、確かに君が掴んだ未来
それでも、星空の下で溢れた雫を
君が手放した愛、今日の為に支払われた代償を
私は生涯忘れないだろう
砲声も怒号も鳴り止んだ、払暁を宿した夢の滸で
自由な君が微睡んでいる
千切られた鎖を惜しむように、瘢痕をなぞる骨張った手
規則正しく刻まれる命の音色が、次々と決壊させる
私の涙が、君の心を癒せれば良いのに
欠けた体でも熱を伝えて、心臓ごと全て捧げられたら
明け方に仄めく衝動に君は瞳を開く
起こすつもりはなかったのだと誤魔化す私を抱き締めて
君の音を聴かせてくれる
脈打つ心臓、まだ上手く紡げない言葉、擦れる肌
全て、全て、溢れてなお止まぬ愛に満ちて
溶けてしまいそうだ
君の中へ落ちて、形を無くして、同じ音を奏でたい
包んでくれる腕が熱いうちは叶わないけれど
優しい光、ほろ苦い記憶
誘われるままに酩酊した昨日から
君の鼓動が私を生かす
私の声が君を目覚めさせる
瓦礫の山を掻き分けて、そんな日々を始めようか
(君だけのメロディ)
6/13/2025, 11:04:27 AM