小学校の作品展、色とりどりの作品にあなたは何を思いましたか?
「想と茜って、昔からああなの?」
梶原が、牛乳を一気に飲み干したままの口で言った。
身長の低さを気にしているのか、放課後になると毎日欠かさず牛乳を飲んでいる。
「“ああ”って何が?」
「えー、なんか……変? てか変人? 奇人?」
「……」
「自覚なし? まあ、そういうとこ好きなんだけどね」
梶原は俯き、小さな声で言葉を足した。
「そういえば、小学校の作品展でさ、想と私だけ先生にめっちゃ怒られたことあったよね」
「なんで?」
「確か小六の図工で、“将来の夢の自分を粘土で作りましょう”って授業があったの。でも、想と私だけ飾られなかった」
「ほー」
「想はさ、粘土で“死んだ自分”を作ったんよ。題名が『愛おしい死』。作品展では色とりどりの作品が並んでたのに、あいつのだけ異質すぎて……先生、半泣きで怒ってた」
「想って、死そのものだよね」
「それな」
「で、茜は?」
「私は……辞退した」
「へぇ、茜らしい。なんで?」
「夢なんて、ないほうが“生きたい”って思えたから。
私、向上心を持って生きていくことができないんだよね。
だって、“明日のために今日生きる”ってことでしょ?
私は今日のために今日生きたいの。
そんな曖昧なものに縋ったら、“今は幸せじゃありません”って言ってるみたいでさ。
だから先生に『夢なんて私には存在しません』って言ったら、バカ怒られて、その日ずっと廊下に立たされてた」
茜はケラケラと笑った。
その笑い声の奥に広がる、彼女だけの世界に――
ふと入り込みたいと思う自分がいた。
色とりどり
1/8/2026, 11:55:55 PM